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9.20 中国語の古典が読めた! [学び]

 土曜日に漢方セミナーがあり、下勉強しておこうと「黄帝内経素問」ハンドブックを取り出した。「黄帝内経素問」は、前漢時代(紀元前206年~紀元8年)に完成された基本古典医学書であるが、原本は存在せず、唐代(762年)に書き改められたものが残っており、これが中医学の基本となっている。その解説本を一通り読んだ(というよりは眺めた)のだが、気になるところを読み返してみた。
 「第40編 腹中論(病状と治方)」である。
 でも、この中の解説の一部を奇異に感じていた。そこで、原書にどう書いてあるか、古代中国語の原本の解読に挑戦!原書には次のとおりある。
 
 黄帝問曰 有病心腹満 旦食則不能暮食 此為何病
 岐伯對曰 名為鼓脹 ……

 黄帝(伝説上の初代帝)が問いかけ、上医(お側付きの名医)の岐伯が返答する形式になっている。して、その解説は、次のとおり。
 黄帝=「胸腹部が張って朝食を摂ると夕食が食べられなくなる病気がある。」
 岐伯=「これは鼓脹という病気である。……」

 黄帝の問いに対する解説は、少々意訳しすぎである。原本を素直に読むと次のようになろう。
 (この部分は、今の日本語でも通ずるから助かります。ラッキー!)
 「胸腹部が張る病気が有る。旦食(1日の始まりの食事)は、則(すなわち)、夕食を食べられなくする。これは何という病気なるか。」

 ここで、前提となるのが食事の回数。今の日本人は1日3食しっかり摂るのがよしとされているが、そんな民族は日本人ぐらいのものであり、摂ったとしても朝食はごく軽く済ませている。一昔前は、朝食抜きの1日2食が一般的であり、中世以前となると、皆そうだった。さらに古代となると、1日1食とも言われている。
 「黄帝内経素問」は紀元前の作であろうから、一般人は1日1食、支配階層は贅沢であったろうから1日2食(昼食と夕食)と考えるべきであろう。
 また、「旦」は、地平線から日が登るという字だから、夜明け、朝という意味であるが、「はじまり」の意味もある。(「朝」も「はじまり」の意あり)
 よって、「旦食」は、「朝食」ではなく、1日の最初の食事と捉えるべきであろう。
 そうすれば、昼食(正午)を摂って、また夕食(当時は明るいうちで「暮れ」食)を摂るとなると、暮れ時には、腹が張っており、食事が食べられない、ということになり、支配階層の付き合いによる1日2回の宴会に付き合い続けていると、「鼓脹(消化不良による腹部膨満?)」が慢性的なものになろうというものである。

 古代は1日1食であっただろうと推測されているのだが、これを読んで、一般人は1日1食(昼食か夕食)で済ませていたのを確信した次第である。
 1日1食(夕食)だけで、もう10年近く過ごしている小生である。付き合いで昼食会があると、夕食はお茶漬け程度しか受け付けない。最悪なのは、付き合いで1泊の団体旅行に出かけたときである。1日3食の付き合いをせねばならない。いかにして少なく食うかに苦慮させられるし、それができないとなると、正に「鼓脹」という病で苦しめられるのである。

 今日は、中国語の古典がラッキーなことに読解できたし、古代の食習慣も分かって、充実感に溢れている。
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コメント 3

菊井 惣

毎回納得させられる解説にどんどん引き込まれて行きます。知識の習得と共に知恵として役立つように勉強してゆきたいと改めて思いました。今後とも宜しくご指導お願いいたします。
by 菊井 惣 (2016-05-03 22:03) 

飯塚優子

長野県の飯塚です、先日は高血圧でおはなしを聞いていただきました。ストレスが多い日々が続いていたものですから助かりました。
このブログでなるほどと思います。
胃が弱い私が朝しっかり食べると夜は不振になり不調がつづいての
これまででした。これから、勉強したいと思っております。 
by 飯塚優子 (2023-06-14 10:37) 

どろんこ

飯塚様、先日はたいしたアドバイスができず申し訳ありませんでした。
今回のコメント、随分と古い小生の記事までご覧いただき、感謝申し上げます。
朝食を摂り、1日3食にしたのは、世界的に中世になって一部の富裕層が始めたものです。
高度に文明化した現代は、皆が中世の富裕層みたいなものですから、1日3食にしてしまった感があります。
1日2食でも「有病心腹満」となるのですから、まずは少食にし、そして朝食を止めるのが先決です。これで、あなたの胃が、“たっぷり休み時間がもらえた!”と大喜びするでしょう。
これに慣れたら、昼食をうんと少なくし、これにも慣れたら1日1食(夕食だけ)、それも腹八分。
きっと、胃君が、“元気になった!”と、感謝してくれることでしょう。

by どろんこ (2023-06-14 14:00) 

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