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1.21 今冬の奥飛騨温泉湯治旅は「長座」、おもてなしが素晴らしい [湯治旅行/宿泊旅行]

<一日一楽日記>(落ち込みから脱却・幸せ膨らむ ※1
 年に1回、真冬に出かける奥飛騨温泉。もう10年以上続いていることだろう。今年もJR東海ツアーズの企画「ぷらっと旅」(高山線の切符・濃飛バス2日間フリー乗車券他と宿泊がセット)で、1泊2日の湯治旅である。小生は、温泉といえば雪で囲まれた露天風呂が一番好きで、1月半ば過ぎなら奥飛騨に大なり小なり積雪があり、今まで裏切られたことは一度もない。今年も雪は有りそうだ。
 さて、今日11時頃に家を出発し、宿は久し振りに「長座」。奥飛騨で最高級の宿であり、少々値が張る。ここができて、もう40年にはなろうか。古民家を移築した建物を主体とし、10年ほど前に増築したものの、こじんまりとした落ち着きのある旅館である。ここは、なんといっても、おもてなしがすばらしい。高級なわけはそこにある。
 こんなすごい宿が「ぷらっと旅」に組み込まれることはまずないが、どういうわけか今年は入っていたから、久し振りに「長座」に行くことにした。今までに4、5回行ったことがある宿だ。最後に行ったのは7、8年前だろうか。そのときは、それ以前のおもてなしが2つ欠けていた。よって、小生は頭にきて、“もう2度とこんな所へ来るか”と、この宿に決別宣言をしたのだが、その2つがその後どうなったのか、それ以外のおもてなしが変わっていないか、といったことに興味が湧いてきて、“偵察に行ってみるか”、とした次第。
 列車は「ワイドビューひだ」であり、観光列車であるからして、乗った早々から日本酒をチビリチビリやり、ほろ酔いかげんのいい気分で高山駅で降り、濃飛バスに乗り、1時間少々で福地温泉口に着く。宿から迎えの車が来て宿に入る。
 最初のおもてなしは、玄関先にある休憩所。ここで、いつものことだがセルフサービスだが甘酒をいただく。こってりした実にいい味がしている。すぐ隣に岩清水の飲み水があり、これで口直し。口の中がスッキリ。よし、よし、最初のおもてなしは大合格。
 案内された部屋にビックリ。広い!3部屋もある。たしか3段階あって、いつも一番下のクラスで、それでも十分にゆったりできる広さであったが、どうやら一番上のクラスのようである。広すぎて、どこに何を置いたか、探し回らねばならないほどだ。リピーターだからサービスしてくれたのだろうか。囲炉裏のある1部屋はとうとう最後まで使わずじまいで終わってしまった。もったいない。
 夕食前に2時間、温泉に入る。10年前にできたという増築の家族風呂へ行く。3つあるうち2つが空いており、その1つに女房と入る。内風呂・露天風呂ともかなり広い。豪華な気持ちにさせられる。湯温は温めで、ちょうどいい。今回知ったのだが、ここ「長座」の源泉は5つあり、4つが50度以下で、1つだけ70度強となっていて、それらを混ぜて使っているから、暑い湯にはならないのだろう。
 いつもどおり体が温まりすぎたら冷水シャワーをたっぷり浴び、体が冷えたところで再び温泉に浸かる。その繰り返し。そして、露天風呂の淵の雪を取って顔に貼り付ける。これ最高! それを期待して来たのだが、標高の高い平湯あたりにはけっこうな積雪があったものの、バスで10分も下った福地温泉にはめっきり雪が少なく、雪で囲まれた露天風呂、というわけにはまいらなかった。でも、吹き溜まりには雪が残っており、岩風呂から手を伸ばして雪を取り、顔に貼り付ける。ひんやりして気持ちいい。よし、よし。
 しかし、露天風呂周りに全然雪がないから殺風景だ。つまらん! ところが、小生が文句を言ったのが天の神に聞こえたのか、チラチラと雪が舞い始めた。いやーあ、いいもんだ。奥飛騨にはやっぱり雪がなくっちゃ。

 さて、夕食。個室であり、囲炉裏端で食事を取る。いい趣向である。もちろん岩魚の骨酒が注文してあり、これをチビチビ飲みながらの食事である。さて、前回に欠けていたおもてなしは復活したのか。
 従前は1品出てきて食べ終わった頃に次の品が来て、といった形で、頃合を見て次の品が出てきた。そして、食べ終わるに2時間かかっていた。それが前回は、どんどん品が来て囲炉裏端で器が大渋滞。せかされて1時間少々で食べ終わらされてしまった。今回はどうなったかというと、最初に幾つも器が並べられている。“ああ、今回もせかされるか”である。そこで、仲居さんに“今日は骨酒を楽しみながらゆっくり食事を味わわせていただく”と釘を刺しておき、どれだけかはブレーキを掛けられたが、やはりせかされる。そこで、終わりがけのメインディッシュ「飛騨牛のすき焼き」の番になったとき、仲居さんに“少々食休めしたいから、ちょっと待ってください”とストップさせ、時間稼ぎ。これが功を奏して、2時間弱かけて夕食を終わる。
 味のほうはと言うと、中の上といったところで、前回同様、合格点が付けられる。でも、岩魚の塩焼きは昔に比べればずいぶんと小さくなったし、飛騨牛が名物とはいえ、肉の量が多すぎる。魚を減らし、肉を増やす、この変化は時代の流れかもしれないが、山奥の温泉宿とあれば、山家料理(昔はその味がとても良かったが今は少し落ちた)を貫徹してもらいたいと願うのは、小生が年寄りになったからだろうが。
 ついでに、もう一つの欠けていたおもてなしとは、前回やらたとそこらじゅう禁煙にされてしまっていたことである。奥飛騨で先頭を切って禁煙にしたのではなかろうか。これは関東からのリピート客が多いからであろう。玄関を入った所に大きな囲炉裏があり、まきがくべられてけっこう煙がホールに漂っているのだが、ホールは禁煙で囲炉裏端も禁煙になっていた。まきが燃えるのをぼんやり見ながら紫煙をくゆらし、吸殻を囲炉裏に捨てる、これを過去何度もやっていたのがご法度にされてしまった前回。ヘビースモーカーの楽しみが奪われてしまったのである。今回は、それが解除になり、囲炉裏端の脇に昔の灰皿(何と言ったっけ。灰が詰めてある小さな火鉢)が置いてあって、堪能できた。もっとも、食事会場は禁煙で、近くに「燻り処」と銘打った喫煙所があり、そこで食休めにたばこを吸うしかなかったが。
 夕食が済んで一眠りし、再び温泉に浸かる。こんどは大浴場だ。ちょうど外人(白人)2人が出る所であり、1時間強、貸切状態。女湯も女房だけの貸切。午後11時前に行ったから、そうなったのであろうが、でかい露天風呂を独り占めするのは実に楽しい。大浴場の冷水シャワーは、これは承知しているがちっとも冷たくないので1回使っただけで、あとは温まりすぎたら屋外の冷気で体を冷やし、寒くなったら温泉に浸かるという繰り返し。時刻も遅いから、早めの切り上げとした次第。
 翌朝、朝食前に3度目の湯治。朝寝坊したから、1時間しか入っていられなかった。女房と2人で家族風呂の2つ目に入る。ここはちょっと小さめであったが、十分にゆったりできた。露天風呂はやや温め。外気温が低いからやむを得ない。
 ここの泉質は、掲示されている分析表によると、単純泉4つと炭酸水素塩水(? うろ覚え)で、硫黄化合物はほとんど含まれていないが、浴室に近づくとかすかな硫黄臭がし、手を濡らして顔に当てて臭いを嗅いでもそのような臭いがする。臭いの元は何か分からないが、“温泉に来たぞ!”と思わせられ、小生は、ここの湯が好きだ。
 朝食はいつもどおり豪華だった。加えて、列車内で飲んだ日本酒の残りがあり、いつものことだが、これを持ち込んでの食事であり、ほろ酔いかげんで満腹。朝寝、朝酒、朝湯を楽しむ、小原庄助さん気分全開!
 10時ぎりぎりでチェックアウトするも、10時15分のバスには乗りたくない。1時間あとのバスに乗ることとし、ホールの囲炉裏端で、これもにくいサービスであるが、セルフながらも生姜湯をいただく。こってりしたいい味である。そして、少しずつ燃えていくまきを時々少しずつ中央へ動かしてやり、炎を絶やさないようにしてやる。もちろん紫煙をくゆらしながら。囲炉裏端に敷いてあるツキノワグマとイノシシの敷き皮も風流がある。こうして1時間のバス待ち時間があっという間に過ぎ去っていった。
 いやーあ、よかった。長座での湯治。おもてなしも素晴らしい。
 宿の方に聞いてみると、ここも外人さんを積極的に入れるようになったとのこと。日本人客はリピーターが多いのだが、それが高齢化し、若い人は期待できず、先細りとなる。以前から欧米人を入れているが、これからは中国人も入れるという。でも、団体客はご遠慮願い、個人客だけにするという。そうしてもらわないことには、我々リピーターは困る。落ち着いた、ゆったりとした雰囲気を味わいたいのだから。有り難い経営方針だ。また行きたくなった、奥飛騨一番の宿、長座である。 
  
<2日前の日記:夕食>(記憶力増強トレーニング ※2
4品思い出す。正解。100点

※1 2012.9.2別立てブログ記事で書きましたが、毎日何か楽しい出来事が少なくとも1つはあったはずであり、それを書き綴っていけば落ち込みから脱却できるとのことで、小生も“一日一楽”日記を付け始めました。
 また、このブログの2015.3.3の記事で紹介しました、ひすいこたろう著「ものの見方検定」に書かれている「小さな幸せに気づくレッスン」で次のように述べられています。
 「わたしは今日幸せでした。なぜならば…」、これの続きを3つ考えてから寝てください。寝る前に幸せを味わって眠ると、不思議と、朝起きたときの表情が違うんです。これも続けるとよくわかるのでぜひお試しくださいね。
 小生も早速これを始め、うち1つを記事にしたところです。
※2 2014.6.3ブログ記事「 100歳までボケない101の方法 」で書きましたが、その中で衝撃を受けたのが「2日前の日記を付けよう」で、次のように書かれています。
 記憶力を維持し、さらには高めることができ、ボケ防止に役立つ効果が大きいから、ぜひやってみてください。例えば2日前に食べたものを思い出すのはどうでしょう。前日のことならかなり鮮明に覚えていると思いますが、2日前となると途端にあやしくなりませんか。
 よって、小生も早速2日前の日記を付け始めたところです。
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コメント 3

天安

「竜 鉄也 / 奥飛騨慕情」を聞きながら
どろんこさんの温泉湯治旅行紀を読ませてもらいました。

湯治を楽しむこと3度。
ほんと、極楽ですよね。
雪を降らせるほどの神通力の持ち主でしたか^^。
ご夫婦で仲良く湯治。
これくらいうれしいこともないですよね。
こういう記事は、文章が長いほどうれしいですね。
またの「湯治紀行文」を楽しみにしております。


by 天安 (2018-01-24 15:03) 

どろんこ

天安さんには、わざわざご当地ソングまで引っ張り出させて恐縮です。ご配慮に感謝!

宿は満室近かった(ここはいつもそう)ですが、浴場はガラガラ。これは奥飛騨のこじんまりした宿の場合、たいていそうなのですが、皆さん何しに来たの?です。お陰で、でっかい風呂を独り占め(あるいは2人占め)できますから、うれしいったらありゃしない。

いつもあれこれいろんな神様に感謝しているからか、雪の神様にも通じたようです。しかし、その神様、“お前が雪を降らせよと言ったから、2日後の今日はドバッと降らせてやる”とばかり降らせるものですから、高山線の特急は朝から丸1日全列車運休となってしまいました。クワバラクワバラ。

by どろんこ (2018-01-24 17:15) 

天安

「奥飛騨慕情」は、実は昔から好きな曲でして、
以前は書きませんでしたが、
どろんこさんの「湯治紀行」を読むときには
いつもこれ、ユーチューブで聞いてました;;;;

奥飛騨に降る雪を想像しながら、今、書いてます。


by 天安 (2018-01-25 09:40) 

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